白洲次郎 占領を背負った男」を読み終わりました。

白洲次郎 占領を背負った男

白洲次郎 占領を背負った男

内容紹介を転載すると:
日本が戦争に負けてから、この男の闘いは始まった――〈マッカーサーを叱り飛ばした日本人〉白洲次郎は、明治三五年(一九〇二年)兵庫県芦屋に生まれる。神戸一中卒業後、英国ケンブリッジ大学に留学。戦前、近衛文麿吉田茂の知遇を得、戦後は吉田茂の側近として終戦連絡事務局次長、経済安定本部次長、貿易庁長官を歴任、日本国憲法制定の現場に立ち会った。また、いち早く貿易立国を標榜し、通商産業省を創設。GHQと激しく対峙しながら、日本の早期独立と経済復興に、“歴史の黒子” として多大な功績を挙げた。昭和六〇年没(享年八三)。紳士の哲学“プリンシプル”を尊ぶイギリス仕込みのダンディズムは終生変わらなかった。妻はエッセイストの白洲正子。これまで次郎について書かれたものは多数あるが、本格的な評伝、全生涯を包括した人物伝と呼べるものはこれまで一冊もないといっても過言ではない。城山三郎氏ご推薦の言葉にあるように、著者・北氏が、長年の史料渉猟、丹念な取材と丹精こめた筆致で紡ぎ出したこの作品で、 初めて白洲次郎の全人像が浮かび上がった。 圧倒的な力を前に人は何ができるのか? 敗北したとき人は何をなすべきなのか――。本書は、戦後を読むのに格好の一冊である。
:転載終了。

とにかく白州次郎はかっこいい。
この本で初めて知った。冒頭に当時の写真があるが、戦前、敗戦のころの日本人で、これほど格好いい男がいただろうか、と男の自分も思ってしまうくらいダンディだ。若いときも、歳を取ってからも、なんでこんなにダンディなのだろう、と思わずにはいられない。
もちろん、格好だけではない。生き様が格好いい。
GHQが日本の占領政策をしていたときの日本の様子を、自分は中学校高校の教科書程度しかしらない。歴史的に見れば、教科書の中では、占領期間はたったの数年でたいしたことのないように思えてしまう。しかし、高度経済成長を実現できたのは、敗戦からの立ち直りがうまくいったからで、敗戦の立ち直りを行ったのはもちろん日本人である。白州次郎の活躍なくして高度経済成長はなかったのではないか、とそう思えてくる。
自分が特に面白く感じたのは、白州次郎の生き様、行動、考え方、死に方、の他にも、憲法制定の状況(マッカーサー草案は一週間たらずでしかも憲法の素人集団が作った、とか)や、敗戦前にあった制度をぶっこわして新しく作る過程などだ。白州次郎がなぜこんなに生き様が格好いいのかは、彼が真に日本の将来を考え自分の利得を考えなかったからだと思う。「権力があるものほど役得ではなく役損を考えろ」(うろ覚えなので正確ではない)など、とにかく良い。格好良い。
ひさびさにいい人に出会えたと思った。自分の中では坂本龍馬と同列になった。

次には「裕仁天皇の昭和史」(山本七平著)を読んで、二点から戦後状況を考えてみたいと思っています。