読書の秋

1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
1491―先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
作者: チャールズ C.マン, 布施由紀子
発売日: 2007/07

これは面白かったです。1990年代および2000年代に明らかになってきたアメリカ大陸の先住民の暮らしについて述べています。彼らは、到達当時のヨーロッパ人の生活水準に匹敵するかある面ではそれ以上の高度な社会を築き上げていました。人口も当時ヨーロッパ全体より多かったです。しかし9割以上が旧大陸の伝染病で死んでしまいました。管理していた先住民たちが激減したことで、草原は「原生林」になり、それを見て旧大陸の人たちは「先住民は昔ながらの生活をずっと続けていた」と勘違いした、そうです。特に、熱帯雨林地方にも高度な社会が築き上げられ、熱帯雨林の数割は先住民たちによる人工林であるという話が興味深いです。まだわからないことが多いようなので今後の研究の展開が知りたいと思います。

SFにおける未来史ものは、何らかの過去の歴史をふまえているはずです。人類が集団としてどのような行動を起こすかという実例が歴史なわけですから。アシモフローマ帝国を参考にしたように。SFを書くとすれば、未来史ものというのはとても書くのが楽しい部類に入ります。しかしいままで私は歴史をほとんど知らなかったし知ろうともしていませんでした。アメリカ先住民の歴史は、ある意味孤立した植民星での話のベースとなりうる物語のような気がします。